CIA(公認内部監査人)とは?
CIAというのはアメリカにある『The Institute of Internal Auditors 』(略称:IIA)という企業の内部監査を系統立て、世界基準を示す機関が認定する資格です。
まぁ簡単に言えば、『然るべき倫理観を持ち、原理・原則に則った内部監査が出来る人だよ!』と試験に合格することによって認定してくれます。
この資格のメリット
まぁ会社で内部監査や内部統制に関わる部門に所属していれば、『この人、基本は分かっているのかな?』という風に認めてくれるといった感じでしょうか。
もし内部監査部門に属しているのであれば、当然実務でも役立つので取得した方が良いと思います。
ただ公認会計士や他の士業の様に、『この資格だけで転職出来るか?』というと、難しいと思います。
それなりの経験を積み、会計やシステム系の監査も出来るということになればそれなりの立場で転職できるのではないかと思います。
どんな試験? 難易度は?
内容別に3つの試験(PART)から成り、すべてに合格すると資格取得となります。すべての試験、4択問題のみです。
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PART1 内部監査の基本 問題数:125問 試験時間:2時間半
PART2 内部監査の実務 問題数;100問 試験時間:2時間
PART3 IT・会計等のビジネス知識 問題数:100問 試験時間:2時間
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これをピアソンというテストセンターでPC受験します。(色々制約は有りますが自宅受験も可能です)
受けるPARTの順番は自由に選べ、1ずつ受験して合格を積み重ねられます。
難易度は基本的に簡単だとは思うものの、勉強方法を間違えると永遠に受からないような気もします。(アビタスのホームページでは全PARTの合格率が10〜15%となっています。勉強を始めたものの、途中で諦めてしまう人も多いのでしょう)
というのも問題が抽象的、且つ問題文・選択文が英語から日本語に訳したものなので、問うてる内容が理解しづらい問題が多いからです。(ちなみに英語での受験も可能です)
スパッと『誰が答えてもこれだ!』みたいに明確に解答できる問題が少ないです。
4択中2択までは絞れるものの、その先いくら考えても決められない、そんな問題が半分くらいあります。
で、これが試験時間に影響します。
普通にやれば全然時間足りるんです。
ただ、生真面目に『一から順に完答しなければならない!』となるとハマります。
いくらうんうん唸っても、絞りきれない問題が多数あるからです。
予備校に行く必要はあるのか?
私が調べた限りではアビタスとTACの2校がCIAの講座を設定しています。
そして『予備校に行く必要があるか?』と問われるとやはり行った方が良いと思います。
やっぱりまず最初にこの試験の言わんとしていることを理解しないと、なかなか個々の問題に対応出来ません。
市販の参考書でも理解できる人はできると思いますが内容が小難しいのでとっつきづらいです。
ただここからがこの試験のややこしいところ。
予備校の内容を理解し、問題をシコシコやっていればすんなり受かるか?というとそうでもないのです。
私が通ったアビタスで言えば、講義内容自体は出題内容にほぼ合致しているものの、テキストの問題が実際の問題とは問い方が違い、アビタスの問題が出来る様になっても解けない問題が多いです。
もっと実際の問題の方が簡潔且つ抽象的なんです。
特にPART3でその傾向が顕著で私は2回落ち、3回目の受験でやっと受かりました。
出た内容の問題を覚えておき、そこの知識を補うことを繰り返しました。
あと予備校に行くメリットは受験申込とかの手続き面をフォローしてくれるところです。
日本内部監査協会と実際に認定するアメリカの兼ね合いで、申請が一気通貫になっておらず分かりづらいです。その辺りを丁寧に説明してくれるところがほぼ無いのでアビタスは有り難かったです。
合格までの費用
ばっくりですが予備校(アビタス)に行くとして下記くらいの費用が掛かります。
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アビタス → 25万
試験代 → 13万(IIAの会員になって、1回も落ちずに)
その他諸々、参考書買ったり → 2万
合計 40万
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なかなか恐ろしいですねー(笑)。
これで試験に2,3回落ちると50万近くになります(泣)。私も実際2回落ちているので良く『その試験代で何買えたかなー?』と妄想したりしました(笑)。
会社からの補助が有ったり、もしくは予備校代で教育給付金を使ったりでやっと賄える額なのではないでしょうか。まぁ、4,50万の価値にするかどうかは合格後の自分次第ですね。
勉強時間
私は22年6月から勉強を開始し、全PART合格したのが同年12月なので資格取得まで半年要したことになります。
PART 1・2は一発合格、PART3は2回落ちて3回目でやっと受かりました。
勉強は時間にはなかなか置き換えられないと思いますが、私の大体の勉強時間下記です。
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PART1→60時間
PART2→60時間
PART3→160時間
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上記に加えて講義に出たり、模試を受けたりしたのでトータル300時間くらいでしょうか?
アビタスは講義時間含めて約400時間と言っていますが真面目にやればそこまでは掛からないと思います。
受ける順番、勉強法
3つのPARTどれからでも受けられますがPART1→PART2→PART3の順番で良いと思います。
あと勉強ですが全PART勉強してから、PART1から受け始めるのではなく、『各PART勉強したら受験、各PART勉強したら受験』と分けた方が良いです。
この試験勉強しなければならない内容は結構多いです。
『全部勉強してから受験』では受ける頃に内容を忘れてしまうでしょう。
あと勉強方法ですが内容を講義受けるなり、テキスト読むなりしてザーッと理解、あとは問題を解きまくり、理解の薄い部分は講義やテキストに戻るということに尽きます。
でこれが『予備校に行かず独学で出来るか?』というと前項で書いた様にチョット難しいと思います。
また受けたPARTが不合格で該当PARTを再受験する場合は、前回の受験日から30日以上の間隔を空ける必要があります。
PART3連続不合格、アビタスの他にやったこと
前述の様にPART1・PART2は一発合格したものの、PART3でつまづくことになります。オッさんにもなってこんな落ち込むことがあるのか?というくらい落ち込み、試験後はルノアールで3時間くらい放心状態になっていました(笑)。
まずPART3ですが私の感覚だと半分以上がIT関係の問題。アビタスのIT分野の勉強時間比重は35%程でちょっと分野配分が実際の試験とは合わない感じ。加えてアビタスの問題の質が違うと感じ、今後何をどう勉強すれば良いのか?見通しが立たず不安を感じました。そんな時、日本内部監査協会のホームページでGLEIMという参考書を見つけました。
『こっちの方が実際の問題に近いんじゃないか?』そう直感した私は大金をはたいてこの問題集を買います。『確かに、確かに問題文の感じはこちらの方が近い。ただ古いからかなんなのか、出題内容がちょっとずれているような気がする!?』と思いながらもこのGLEIMの問題をやり、2回目の試験を受けるもまた撃沈(泣)。今度はどうしようかと思いまながらも為す術もなく、アビタスの問題を復習しながら3回目にしてやっと合格。正直3回目も受かっていると思いませんでしたが受かっていました。3回目になると同じ問題もちょいちょい見かけるため、『こっちなのかなぁ?』という試験勘の方が大きかったように思います。
ピアソンテストセンター
試験はピアソンというテストセンターで受けます。ピアソンは試験主催者から試験環境を受託し、CIAの他にも様々な試験を行なっています。都内では3ヶ所で受けられますが、いずれの会場も混んでいて、なかなか希望の会場・日時で受けるのが難しい状態です。私は一ヶ月前くらいに試験予約していましたが、なかなか希望通りの場所・日時選べませんでした。私が受けた会場は新宿と市ヶ谷の2ヶ所ですが、試験環境としては新宿の方が断然良いです。市ヶ谷はビル自体も大きくなく、会場内も狭いので隣の受験者との距離が近いです。なので隣に受験者が来ると、あまり落ち着いて試験を受けられません。その点新宿はビルも新しく、席も広いのでゆったり回答出来ます。ただ新宿は市ヶ谷よりも混んでいて、予約が取りずらいです。勉強の進捗具合もありますが試験予約はなるべく早くする必要があります。
合格基準、合否結果
スコアは、各Partいずれも250~750ポイントに換算され、600ポイント(おおむね75%の正答率)以上で合格となります。
テストセンターで受ければ、合否は受験直後に会場の受付の人から渡される紙ですぐに分かります。
ここがちょっと不親切なのですが合格なら『合格』という印字のみ(受かっても点数知りたいですよね?でも点数が分からない泣)、落ちていると『不合格』と印字され、『点数』と出題範囲別に『もう一歩の努力が必要』等のコメントが記載され、『どこがどの程度ダメだったのか?』がばっくりですが分かります。
ただ本当にばっくりなので今後の具体的な対策を立てるための情報にはなりません。
合格した時のプリント
不合格の時のプリント
まとめ
この資格、内部監査業務に従事していれば実務に役立つし、箔もつくので取得するに越したことはありません。
会社に依っては内部監査部門の人間に取得を義務付けるところもある様です。
ただ繰り返しますが試験は抽象的で捉えどころがありません。
私含め試験を受けても『受かってるのか?』『落ちているのか?』分からない人が大半だと思います。
この試験攻略に関する合格体験記等を見ていると必ずと言っていいほど、『問題を覚えるのではなく理解することが大事』と出てきます。
それは当然そうなのですが問題の抽象さに慣れ、『比較的具体的に問うてる問題で確実に得点する』というこの試験の攻略法だと思います。

潰瘍性大腸炎発症から1年程でがん化し、大腸全摘せざるを得なくなった40代商社マン。大腸全摘後も世界を飛び回っています(今はコロナで自粛中)。
潰瘍性大腸炎・大腸全摘手術をした経験やその後の生活を書き綴っています。
(時々熱い想いも書きます笑)