夫を献身的に看病する奥さん
大腸全摘手術、当然辛い事の方が多かったのですが人との出会いは良い思い出として今でも残っています。
2期目の手術の入院当日、病室で色々手続きしていると、同部屋の患者さんの奥さんが気さくに話し掛けてきてくれました。
確か旦那さんは潰瘍性大腸炎かクローン病かの手術の影響で便が出づらくなり、ストーマを造設する手術をするとの事でした。
その奥さんは毎日病院に来て、献身的に看病されていました。
旦那さんの手術当日になり手術中、待合室で奥さんが待たれていたので、また私と話をしていると奥さんが私に『気を送らせて欲しい』と言ってきました。
私は少し戸惑いましたが、気を送ると奥さん自身の気持ちも落ち着くとの事でお願いする事にしました。
数分間でしょうか、少し浮かした状態の手を私の肩辺りに当てていました。
どうなんでしょう、効果が有ったのか無かったのかは正直分かりませんでした。
ただ旦那さんの手術が終わるのを待つ中、奥さんの不安な気持ちが少しは和らいだかも知れませんし、私の回復も願って頂き、有難かったです。
精神世界みたいなのは苦手だし、あまり信じませんが未知の事はこの世の中いくらでも有る。
『願ったり願われたりする』、その事自体が価値有る事なのかなぁと思いました。
二宮金治郎な大学生
これも2期目の手術後のことです。
2期目の手術はストーマクローズだけだったので、術後結構元気で手術翌日からそこそこ病棟を歩いていました。
するとどうでうしょう、バカボンが着ている様な紺色の浴衣を着た小柄な男の子が本を読みながら歩いて来るではないですか。
しかも点滴棒を引きながら(笑)。
『えっ、そんな点滴引いてるだけでも鬱陶しいのに本まで読むなんて! 』と私は驚き、その子に二宮金治郎を重ねました。(抱えてるいるのは仕事ではなく病気でしたが笑)
ある日たまたま待合室でその子がいつもの様に本を読んでいたので我慢できずに『何を読んでいるのか?』聞いてしまいました。
なんとその子が読んでいたのは大学の教科書でした!
授業についていけなくなるとの事で自習しているとのこと。(病棟を歩きながらまでやる必要が有るのかは少しばかり疑問でしたが笑)
『今時こんな真面目な子がいるんだなー』と感心してしまいました。
聞くと難関大学の大学生で中学くらいから患っているクローン病でしばしば入院するとの事。
手術も2、3回していて通院しやすい様にと横浜の近くに家族で引っ越してきている苦労人でした。
私よりも病院の事情通で『あの先生の評判はどうなのか?』、『急に具合が悪くなった時どうやって外来に掛かるのか?』などなど色々教えくれました。
私の方が先に退院日を迎えましたが別れを言うのが凄く辛かったです。
ホント元気でやっててくれるといいなー。
また元気な姿で外来で会いたいです!
潰瘍性大腸炎発症から1年程でがん化し、大腸全摘せざるを得なくなった40代商社マン。大腸全摘後も世界を飛び回っています(今はコロナで自粛中)。
潰瘍性大腸炎・大腸全摘手術をした経験やその後の生活を書き綴っています。
(時々熱い想いも書きます笑)