10年経って思うこと(結論から)
10年経って一番言えるのは、**「人間、慣れる」**ということです。というか、慣れるしかないというか(笑)。
もうね、「大腸があった頃ってどんな感じやったっけ?」って頭では考えられるものの、感覚ではほぼ忘れてます。
「住めば都」というか、ないならないでやっていこうと、本能が勝手にそうしてくれる感じなんですよね。
大腸全摘した方の予後は本当に人それぞれだと思いますが、私の場合は、日常生活に支障はほぼありません。
で、これはあくまで私の感覚なんですが――大腸がある/ない以前に、元々の体力とか回復力みたいな“基礎体力”が大事なんじゃないかと思っています。
潰瘍性大腸炎が重症化するとステロイド治療をすることもありますが、そういうふうに体に負荷がかかった状態で全摘になると、回復も含めてしんどさが出やすいのでは…と、勝手に感じています。
もちろん今後の治療の発達も含めて、大腸全摘はあくまで最終手段という認識は、今も変わりません。
10年のざっくり年表(節目ごとの変化)
細かい出来事は省きつつ、10年を「体の感覚」で区切ると、だいたいこんな流れでした。
※あくまで私個人の経過です。
1年目:生活の再設計期(とにかく手探り)
-
「これで一生やっていけるのか」という不安が一番強い時期
-
とにかくお尻が痛い
-
外出・食事は試行錯誤の連続
-
服薬(下痢止め)+3ヶ月に1回の通院
-
漏れは夜だけで、頻度は週1〜2回程度
-
通常勤務に戻り、海外出張にも行く
2年目:パターンが見えてくる(守り方が分かる)
- 「トイレに行くべきタイミング」「漏れやすい条件」が分かる
- 服薬(下痢止め)+3ヶ月に1回の通院は継続
3〜8年目:安定期(“普通に回る”)
-
下痢止めなどの服薬は不要に
-
病院にも行かなくなる(定期通院なし)
-
日常生活はかなり安定し、「大腸がない前提の生活」が完全に定着
9〜10年目:長期の課題が見えてくる(体への影響を実感)
-
尿管結石を数回経験
-
その中で「尿量の少なさ」を自分の課題として実感(=水分が足りていない)
-
以降は「水分摂取」と「尿量」を意識するようになる
現在の体調(10年目の現状)
ここからは「いまどうか」です。
体調の総評
全体としては良いですね。
そんなに脱水したり、頻繁に風邪引いたりしないです。腹痛もないです。
体重・生活リズム
-
身長:182cm
-
体重:だいたい79kg前後
-
睡眠:平均6時間、夜間に起きる回数は2回くらい
便回数・便の傾向
-
1日6回前後(平均)
-
波が出る条件:
-
- 海鮮、牛肉を食べる
-
飲酒
-
便漏れ
頻度は朝方に週2回くらい。
時期によって波があります。全くない期間もあれば、結構漏らす期間もあります。
相変わらず大人用の紙パンツを履いています。
仕事・外出
仕事は出社+在宅で回せています。
外出も国内・海外問題ないですね。
まぁ便の回数は増えましたが、健常者の小便の回数くらいでしょうか。そう考えるとあまり影響なくて、小便を便器に座ってする感じです。
10年間で変わったこと、変わらなかったこと
変わったこと
- 難病に悩まない
潰瘍性大腸炎って、症状そのものがつらいのはもちろんなんですが、それに加えて「難病になった」「もう治らないかもしれない」という事実そのものが、大きなストレスになります。私の場合、大腸は失ったけれど、その代わりに「いつ再燃するんだろう」とか「一生この病気と付き合うのか」という不安からは、かなり解放されました。結果的に、心の平穏を手に入れた部分はあるのかもしれません。
- 病人の気持ちが分かる
誰でもいつでも病気になるのに、病気になると健常者と病人とで大きな壁があるように感じます。私はこれを誰かがお見舞いに来た時に強く感じます。来る人も『病気になって大変だなぁ』と頭では分かるのでしょう。でも所詮人事、大病の大変さは経験しないと分かりません。病気は違えど、苦しみや絶望感は分かってあげられます。
変わらなかったこと
-
便回数
2015年12月にストーマ閉鎖し、半年くらい経過したところから便回数1日6回前後になりましたが、これは10年経った今でも変わりません。小腸で作った回腸嚢が年数を経て大腸化するみたいな話がありますが、それはないですね。残念ながら小腸は大腸にはなりません。 -
便漏れ
これも変わりません。1,2年経過して漏れるなら、おそらくその後も漏れ続けるでしょう。まぁただ昼間漏れなければ、少し睡眠が浅くなるくらいで、QOLにあまり影響はありません。私は術式IIAでしたが、IACAの方が多分漏れにくいでしょうね。あとは残存小腸の機能で漏れの具合が変わると思います。 -
仕事への影響
事務系なのでいつでもトイレに行けるし、仕事何か不都合が起こったことはありません。転職も普通にできません。この点は病気関係なく、需要と供給によりますので、病気の人は悲観せずに希少人材になるべく頑張ればいいと思います。あと就職の時に病気のこというか迷うみたいなことをよく聞きますが、就業に問題なければ、言う必要ないです。逆に遅刻するとか、急に休むとかあれば言う必要はあるでしょう。ただこれはその人の価値次第です。それでも働いて欲しい人材になる努力は必要でしょう。
手術直後の自分に伝えるなら
10年前の自分に一言だけ言うなら、これです。
「大丈夫。慣れる。焦らなくていい。」
当時は「今がずっと続く」みたいに感じる瞬間がありました。
でも実際は、気づいたら“自分の生活”になっていきます。
まとめ
大腸全摘から10年。
潰瘍性大腸炎の診断を受けた時、担当医から「将来的にがん化して、大腸全摘になる可能性もある」と告げられました。
その時の私は、大腸全摘なんて死同然だと思った記憶があります。
そして悪いことは続きます。翌年、まさかのがんが見つかりました。
本当に大腸を切るべきなのか、手術当日まで迷いながら、それでも全摘しました。
その判断が正しかったのかどうか。
私はその後、何年も考え続け、その葛藤をこのブログに書いてきました。
ただ、ここ2〜3年は病気に関する思い悩みが薄れてきて、ようやく人生そのものに向き合えてきていると感じています。
この「潰瘍性大腸炎」や「大腸全摘」に関する記事は、
今も寛解せず症状に苦しんでいる方、将来のがん化を恐れている方、これから全摘を受ける方、そしてすでに全摘をされた方に向けて書いています。
「こんなふうに生きている男もいるんだ」と、病気にとらわれすぎず、少しでも前を向くきっかけになれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

潰瘍性大腸炎(UC)を発症し、約1年でがん化が見つかり大腸全摘を経験しました。手術当日まで迷い、術後も長いこと葛藤しましたが、気づけば大腸全摘から10年。今は「ないならないで生きていく」生活が完全に定着しています。
このブログでは、潰瘍性大腸炎・大腸全摘の体験談、術後の生活(便回数・便漏れ・食事・睡眠・水分など)、10年経って見えてきたことを、できるだけリアルに書いています。同じ状況の方の不安が少しでも軽くなり、病気にとらわれすぎず前を向くきっかけになれば嬉しいです。